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安全運転
2022.02.03 (木)
スマートフォン(スマホ)やカーナビなどの使用に起因する交通事故の増加を受け、令和元年に道路交通法の改正が実施されました。
現在では運転中のスマホの使用、いわゆる「ながらスマホ」に対して厳しい罰則が適用されます。
法改正後はながらスマホによる事故数が減少傾向に転じたものの、依然としてその数は年間1,000件以上です。その中には死亡事故も含まれていることを忘れてはなりません。
今回は運転中のながらスマホによる違反について詳しく解説します。
車の運転は人の命を奪うこともあるということをしっかりと認識し、違反がないように安全運転を心掛けましょう。
目次
警察庁の調査によると、令和2年度の携帯電話・スマホ使用に関連する事故の死亡事故率(死傷事故に占める死亡事故の割合)は1.56%です。
それ以外の交通事故の死亡事故率は0.83%ですので、携帯電話・スマホ使用に関わる事故は約1.9倍も死亡事故の割合が高いことになります。
車を運転するドライバーは「運転中のスマホ操作は死亡事故につながりやすい」という認識を持つことが大切です。
しかし、頭では危険と分かっていても油断するとついやってしまうのがながらスマホの怖いところでもあります。
スマホは私たちの生活の一部と言えるツール。運転中であっても電話や新着通知があればつい手に取りたくなってしまいます。
道に迷って地図アプリ片手に運転してしまう人もいるでしょう。
しかし、どのような理由であれ運転中のスマホ操作は人命を奪いかねない危険行為であることは忘れてはなりません。
令和元年の道路交通法改正が話題となったこともあり、運転中のながらスマホが法令違反に該当することは多くのドライバーが理解されているでしょう。
ここでは法令違反となる運転中のスマホ操作について改めて解説しています。
まずは現行の道路交通法において「ながらスマホ」がどのように規定されているのかを確認しておきましょう。以下該当する条文を引用します。
道路交通法第71条 5の5
“自動車又は原動機付自転車を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。”
条文を要約すると、運転中のスマホ操作で違法となるのは以下の行為です。
◎ 走行中にスマートフォン・携帯電話・無線機等を手に持ち通話する行為
◎ 走行中にスマートフォンや携帯電話、カーナビ等の画面を注視する行為
ここでポイントとなるのがスマホの「保持」と「注視」です。
法令で禁止されているのは通信機器を「手に持って」通話する行為に限定されます。つまり、外付けの機器を使用しハンズフリーで通話する場合には法令に抵触しません。
ただし、自治体によっては運転中のイヤホン装着が禁止されている場合もあるため、各自治体の条例も確認しておきましょう。
スマホを手に持っていなくても画像を見たりメールを読んだりする行為は「注視」にあたります。
なお、注視には具体的な時間が規定されていません。目安となる時間は「2秒」ですが、運転の安全性が確保できていないと判断されればそれ以下の時間でも違法行為に該当します。
ながらスマホでもうひとつのポイントとなるのが「走行中」であるかどうかです。
条文でも『該当自動車等が停止している時を除き』という記述があるように、自動車が停車中(速度が0の状態)であればスマホの保持や注視は認められています。
「信号待ちでのスマホ操作は違反になるのか?」という疑問を持たれる方もいますが、条文に従うのであれば違反ではありません。
しかし、スマホに気を取られてしまうと信号が変わった際にスムーズな発進ができない場合もあります。また、ブレーキペダルの踏み込みが緩くなれば追突事故を起こしてしまう可能性もあるのです。
これらのことから信号待ちでのスマホ使用は違法ではありませんが、推奨もされません。
可能な限り使用は控えるようにしましょう。止むを得ず信号停止中にスマホを使用する場合はギアを「P」や「N」に入れる、またはサイドブレーキを掛けるなどの追突防止策を取りましょう。
運転中のスマホ使用で違反を切られた場合の罰則について解説します。先述したように、ながら運転による交通事故増加を背景に令和元年に道路交通法が改正されました。従来よりも罰則が厳しくなり、いわゆる「一発免停(免許停止)」もあり得ます。
ながらスマホは、事故の有無や危険運転の有無に関わらず、運転中のスマホを保持しただけで違反の対象になります。
ドライバー本人が安全に配慮していたとしても、走行中にスマホを手にしていれば警察の取り締まりを受ける可能性があるのです。
また、スマホの保持や注視により「交通の危険」を発生させた場合は、より厳しい罰則が適用されます。「交通の危険」とは周囲のドライバーに危険を感じさせる運転のことです。
事故に至らなくてもと「交通の危険」と判断されれば1年以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金が科せられます。
道路交通法の改正により、ながらスマホは罰則だけでなく違反点数もより厳しいものとなりました。
ながらスマホにより「交通の危険」に該当する違反を切られた場合の加算点数は6点です。
累積違反点数が6点を超えると免許停止処分となるため、ながらスマホだけで一発免停となることもあり得ます。
なお、他の交通ルール違反で6点が加点されるのは「無車検・無保険の運行」「一般道で時速30km以上の速度超過」などです。
つまり、ながらスマホはこれらと同等の危険行為にあたると考えることもできます。
ついついやってしまいがちな運転中のスマホ操作。
しかし、ながらスマホは重大事故につながりやすい危険行為であることを忘れてはなりません。道路交通法の改正により、現在ではながらスマホに対して厳しい罰則が適用されます。
運転中にスマホを使用する場合は、適切な場所へ駐車させてから操作することが最も安全な方法です。
違反を切られないためにも、ドライバーは運転中のながらスマホは危険であるという自覚を持ちましょう。