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安全運転
2021.09.30 (木)
近年ハイブリッド車が普及しています。
社有車についてもハイブリッド車を導入する企業も見受けられます。
ハイブリッド車が普及した背景、ハイブリッド車の特徴や運転の注意点、社有車の取扱いについてまとめた記事です。
目次
戦後の工業の発展に伴い、工業地域の人々への健康状態に影響を及ぼす大気汚染が社会的な問題となりました。
また、環境問題が地球温暖化とともに考えられるようになり、1997年には温室効果ガス排出削減の数値目標を定めた京都議定書も採択されました。
このように、世界的に環境対策に力が入れられており、日本でも環境に関する法律等が設けられ
企業についても製造業だけでなく様々な業界で、環境問題に取り組む傾向がみられます。
環境対策に取り組むことで、企業には多くのメリットがあると考えられています。
現在では、多くの消費者が環境問題に関心を持っているため、企業が環境に優しい製品/サービスを提供したり
ISO 14001(環境マネジメントシステム)を取得すること等が、企業の業績やイメージに大きく影響すると考えられます。
企業内で省資源化や省エネを励行することにより、企業のコスト削減につながります。
また、工場であれば環境対策が整っていれば地域の方々との信頼関係が深まると考えられます。
ごみの分別を徹底する、エコなオフィス用品を使用する、省エネに取り組む等、社員一人ひとりが環境を意識することで
企業全体が環境に配慮していることをPRでき、企業イメージの向上にもつながるでしょう。
もちろん、社有車の扱いについても環境対策の一つとしてとらえることができます。
環境に優しい安全・安心な製品/サービスを提供する企業として、運転行動や社有車そのものについても環境に優しくする意識が必要ではないでしょうか。
総務省統計局「小売物価統計調査」によるとガソリン1L当たりの小売価格は
オイルショックの影響から1982年の177円をピークに、1999年5月には97円まで下がりますが
それ以降、高騰下落を繰り返しつつも徐々に価格は上がってきており、2021年8月現在で158円となっています。
社有車を何十台も何百台も所有している企業にとっては燃料に対するコストも大きな負担となります。
そこで、同じ距離を走行しても、少しでも燃料消費を抑えることができる省燃費車やハイブリッド車が注目されるようになってきました。
ハイブリッド車とは二つ以上の動力を備えた自動車で、一般的には「ガソリンエンジン」と「電気モーター」で駆動する車が多いです。
発進時や低速走行時はモーターを使い、燃料消費の効率が良い速度になったらエンジンに切り替えて走行します。
エンジンがかかっている状態では、エンジンで発生する力でタイヤを駆動させる他に、発電と充電をしています。
駆動用バッテリーに蓄えたその電力で駆動用モーターを動かします。そのため一般的なハイブリッド車はガソリンを給油するだけで、充電作業は必要ありません。
また、減速時にはタイヤの回転により発電し、駆動用バッテリーを充電する「回生ブレーキ」で、効率よく電力を蓄えます。
自動車検査登録情報協会によると、2010年のハイブリッド車(乗用車)は約97万台でしたが、2020年には約928万台に上っています。
2020年の国内の自動車保有台数(乗用車)が約6181万台ですので、このうち約15%がハイブリッド車(乗用車)と考えられます。
ガソリン車に比べハイブリッド車は燃費が良いため燃料コストの削減につながります。
また、ガソリン車に比べ燃料の消費が少ないため、同じ距離を走行しても給油が必要になる回数が少なくなります。
給油作業の手間、ガソリンスタンドへの往復にかかる時間や燃料消費、また、ガソリンスタンドが混み合っていたら待ち時間もかかりますので
給油回数が少ないことは意外と大きなメリットといえるのではないでしょうか。
早朝や夜間のエンジン音は気になることも多いですが、ハイブリッド車はガソリン車に比べ、始動/発進時や運転時の騒音を抑えられます。
電気で走行しているときや、信号待ち等での停止しているとき等、エンジンが稼働していない状態ではCO2の排出を抑えることができます。
発進時はモーターを使うため駐車場やその近隣の環境保護にもつながります。
車種等により異なりますが、自動車取得税や自動車重量税が免除されたり、自動車税や軽自動車税が軽減されることがあります。
同じ車種でもガソリン車よりハイブリッド車の方が本体価格は高いです。
燃料費は抑えられますが、本体価格の差額以上に燃料費を削減できるかは、車の使用条件(走行距離や運転方法等)により大きく変動しますので
車の購入と維持にかかる総コストという観点ではどちらが良いかは一概には言えません。
走行中に充放電を繰り返しますので駆動用バッテリーは少なからず劣化していきます。
通常の使用ではほとんど交換は必要ないと思われますが、過走行等の高負荷使用により駆動用バッテリーを交換する場合は高額な費用がかかるでしょう。
バッテリー駆動のみで走行しているときは走行音がほとんどないため、歩行者に気付かれにくいことがあります。
ハイブリッド車が低速で動いている時、モーター音のような電子音を聞いたことがあると思いますが、これはモーターの作動音ではなくスピーカーからの疑似音(車両接近通報装置)です。
歩行者との事故やトラブル防止のため以前から採用されていましたが、新型車は2018年から、継続生産車は2020年から接近音の搭載が義務化されました。
20年程前に、エンジンを搭載せずモーターのみで動く「電気自動車」を運転したことがあります。
当時はハイブリッド車や電気自動車をほとんど目にすることがなく、その車には接近音もありませんでしたので
周囲の歩行者は「静かな車」が後ろから近付いていることに全くと言っていいほど気付いてもらえず、静かすぎることに危険を感じたのを覚えています。
ガソリン車と比べ、ハイブリッド車は減速時のエネルギーを電気に変換して蓄電する回生ブレーキを採用しています。
一般的にはアクセルペダルを戻すことで回生ブレーキが働き、ブレーキペダルを踏むことによっても回生が強く働くようになっています。
前方の赤信号で停止するためにアクセルをいつ離すか意識しましょう。
ただ、後続車がいる場合には交通の流れを大きく乱すことのないような配慮も必要でしょう。
いくら燃費の良いハイブリッド車でも、急加速や急ブレーキ等、荒い運転ではそのメリットを最大限に活かすことはできません。
速度のムラをなくす(不必要な加速や減速をしない)、そのために車間距離を確保することが大切です。
前車が不要なブレーキをかけているのを見ると、あまり気分がいいものではないですし、運転に慣れていないドライバーなのかと不安になることもあります。
同じことを後続車に感じさせないよう意識しましょう。
また、丁寧な発進もエコ運転には有効ですが、ただゆっくり走ればいいということでもありません。
目標の速度までは速やかに加速し、目標速度を維持することで燃費向上にもつながり、他車から見て「イラっとする運転」にもなりにくいと思います。
今回はハイブリッド車についてお伝えしましたが、社有車を運転する皆様の企業ドライバーとしての使命は「事故を起こさない、事故に遭わない」ことです。
ハイブリッド車、ガソリン車を問わず、安全で環境に優しい運転をすることが必須です。
安全な運転、上手な運転とはどのような運転でしょうか。
とにかくゆっくり走るのが安全とは限りません。
対向車や後続車、歩行者自転車等を常に観察し、全ての交通が安全に通行するために自分がどんな行動をとるべきか、「場の空気を読んだムダのない運転」を目指しましょう。
安全な運転行動や燃費走行とともに、ルールを守っているから大丈夫ではなく、思いやりをもった運転をこれからも続けてください。
一人ひとりの行動が企業イメージや環境を左右することにつながっているのです。