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安全運転
2022.12.05 (月)
悪質な運転によって重大事故につながるあおり運転は厳しい取り締まりの対象となっています。この記事をご覧いただいている企業ドライバーのみなさんは故意にあおるような運転はしないと思いますが、いつもの運転が無意識にあおり行為になってしまったり、相手の感情を変化させてしまっているかもしれません。ここでは、あおり運転につながるかもしれない行動例と、被害に遭わないための方法を紹介します。
目次
近年ニュースでも取り上げられることも多いあおり運転ですが、令和2年に道路交通法の一部が改正され、妨害運転(「あおり運転」)に対する罰則が定められました。他の車両等の通行を妨害する目的で、急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持等の違反行為は、最大で懲役3年の刑に処せられることとなりました。
また、妨害運転により著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で懲役5年の刑に処せられることとなりました。 さらに、妨害運転をした者は運転免許を取り消されます。
具体的には、どのような交通違反が該当するのでしょうか。
通行区分違反 (対向車線からの接近や右側通行)
急ブレーキ禁止違反 (不必要な急ブレーキ)
車間距離不保持 (車間距離を著しくつめる)
進路変更禁止違反 (急な進路変更や蛇行)
追い越し違反 (無理な追越しや左車線からの追越し)
減光等義務違反 (不必要なハイビーム)
警音器使用制限違反 (不必要なクラクション)
安全運転義務違反 (急な加減速、不必要な幅寄せ、妨害)
最低速度違反 (高速道路で正当な理由がないのに低速走行)
高速自動車国道等駐停車違反 (高速道路等での駐停車)
これらがあおり運転となる10類型の違反とされていますが、この他にも特に悪質な場合は危険運転致死傷罪や暴行罪となることもあります。
あおられるような運転をしている方も悪いという意見もありますが、これはあおる側の言い訳と思います。ただ、いろいろな考えや感情を持った人が運転しているという認識は大切です。
他車の行動をみてイラッとしたことはありますか?イラッとしたからといって必ずしもあおり運転につながることはなく、そこでこらえることができればお互いトラブルにもなりませんし、そもそも感情が乱れることもなく常に落ち着いて運転できている方も多いと思います。
一方、自分はルールを守っているし、大丈夫と思って運転している方もいます。
ほんの小さな行動があおり運転のきっかけになることもあります。もちろん、あおる方が悪いのですが、万一自分があおり運転のトラブルに巻き込まれると、仕事のスケジュールや自分のメンタル等、あらゆることに影響します。トラブルに巻き込まれないためにも無意識に取っている行動が相手の感情を変化させているかもしれないと考えることは大切です。
では、具体的にどんな運転をしていると周囲に迷惑なのでしょうか。
自分本位な行動、漫然とした行動、また、企業ドライバーに必要な「配慮」が欠けると思われる行動を挙げていきます。これらの行動が交通トラブルや企業イメージを左右することにつながるかもしれません。
制限速度を常に把握していますか?高速道路では右車線を走り続けていませんか?もちろん速度超過はすべきではありませんが、制限速度や状況にかかわらずゆっくり走り続けるのは交通の流れに乗れていないことになります。
また、状況が良いのに制限速度までなかなか加速しないのも遅く感じられます。急加速は不要ですが、速やかに加速し、ムラのないアクセル操作で速度を維持しましょう。後続車が追い越したがっているようなら先に行かせるタイミングを図ることも大切です。
自分では大丈夫と思っている車間距離でも、前車のドライバーは「近い」「あおられている?」と感じているかもしれません。停止する際の車間距離にも注意が必要です。特に1BOXタイプの車は前方の見切りが良いので詰めることもできますが前車に圧迫感を与えないよう余裕のある間隔で停止しましょう。
状況が良い直線でも頻繁にブレーキランプが点灯している車を見かけます。無意識にアクセルとブレーキを交互に踏んでいるようですが、「いやがらせにわざと踏んでいる」と受け取る後続車もいるかもしれません。
アクセルの加減による速度調節で、速度ムラの少ない走行を心がけましょう。そのためには安全な車間距離を確保することが大切です。
交差点や駐車場等を探すのに気を取られ、安全確認がおろそかになった状態で不自然な加減速やハンドル操作が続くと、後続車の迷惑や危険につながります。後続車の状況にも目を配りましょう。
割り込みされたり、無理な車線変更をされるとイラっとする人もいます。なんとも思わず「どうぞ入ってください」という人ばかりではありません。自分が割り込んでしまったら手を挙げるなどして他車とのコミュニケーションをとりましょう。
「自車の前にやや強引に合流してきたのになかなか加速しない」
「自車を追い越した後、前方に誰もいないのに自車のすぐ目の前に車線変更してくる」
「自車を追い越した前車が自車より遅い速度で走る」
という車を見るとイラっとする人もいます。合流や追越しが終わってホッとする前に他車との位置関係や速度差にも気配りしましょう。
一定の速度を保っているつもりなのに気が付いたら遅くなっていたという経験はありませんか?特に高速道路では勾配の変化に気づきにくいものです。上り坂で速度が落ちると渋滞の原因にもなりますので、できるだけ速度を維持しましょう。重い荷物を積んでいるトラックなどは速度を維持できないこともありますので、状況に応じて後続車に譲ったり、高速道路では走行車線を選ぶ等、後続車に配慮しましょう。
交差点の直前で合図を出して曲がる、進路を変え始めてから合図を出して車線変更する車を見てどう思いますか?また、合図を出す時間が短いと、その行為を「やめた」と捉えられさらに危険な状態になることもあります。
自車の意思を周囲に知らせることで事故防止にもつながりますので、早めに(交差点の30m手前、進路変更の3秒前)合図を出す習慣をつけましょう。
左に曲がるのに、ハンドルを右に動かしていませんか?内輪差への不安から無意識に右振りする方もいらっしゃいますが、ほとんどの交差点で、ほとんどの車は右に振らなくても曲がれます。自分より大きな車も右振りしないで曲がることができていませんか?
右振りは後続の直進車や右折レーンの車との接触事故、二輪車のすり抜けによる巻込事故につながる恐れもあります。前車が右振りしていたら自分はどう思うか等、よく考えて走行しましょう。
【参考動画】
絶対に無くしたい左折時における『ハンドルの右フリ!』
https://youtu.be/2FX5JFPhnIA
右左折する前車が曲がった先の横断歩道の少し手前で止まった時「もう少し前に出てくれれば自分が通過できるのに・・・」と思った経験はありませんか?右左折時に横断者を譲るために停止する位置にもこだわってみてはいかがでしょうか。横断者を優先させるのは大切ですが、後続車や対向車が通行しやすいような位置で停止する配慮ができるといいですね。ちょっとした気配りで、歩行者だけでなく、他の交通にも優しい運転になります。
上記のような自分本位の運転は、ルールは守っていますが、そのほとんどが後続車や周囲の交通を気にしていない他者への配慮に欠けた運転ともいえます。「自分は正しいことをしているから大丈夫」と思っていても無意識のうちに他の人の感情を変化させているかもしれません。あおり運転等のトラブルに巻き込まれないためにも「自分がされたら迷惑と思うことをしない」というお互いの立場を考えた運転を心がけましょう。
ひとりで運転しているときも、たくさんの他の交通がいます。仲間と走っているつもりで、「自分も安全に、相手も安全に」通行できるような運転を考えてみてはいかがでしょうか。