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ビジネススキル
2022.02.07 (月)
新入社員の早期離職は採用や育成のコストが無駄になってしまうだけではなく、会社のイメージが悪くなってしまう可能性もあります。
早期離職防止のためには、まずは離職の理由を知ることが重要です。
具体的な問題点を確認しておくことで、早期離職防止につながる、効果的な対策を打てるようになります。
目次
新入社員の離職を防ぐためには、離職する理由としてどのようなものが多いのか、知ることが大切です。
内閣府による「平成30年版子供・若者白書」では、初職の離職理由(複数選択可)の上位を以下が占めています。
1. 仕事が自分に合わなかった為(43.4%)
2. 人間関係がよくなかった為(23.7%)
3. 労働時間、休日、休暇の条件がよくなかった為(23.4%)
4. 賃金がよくなかった為(20.7%)
5. ノルマや責任が重すぎた為(19.1%)
6. 自分の能力や技能がいかせなかった為(15.5%)
7. なんとなく嫌になった為(12.7%)
上記7つの離職理由について、以下で詳しく解説します。
離職理由でもっとも多いのが、「仕事が自分に合わなかったため」という理由です。
企業説明会や会社訪問などの就職活動で会社を知る機会は多くありますが、入社後にギャップを感じることは少なくありません。
実際に働いてみると「聞いていた話と違う」、「想像していた雰囲気ではない」と思ってしまうケースがあるようです。
とくに社会人1年目の社員は、社会人として働くこと自体が初めてです。入社前に具体的にイメージできることには限界があり、入社後のギャップをより大きく感じやすいのかもしれません。
新入社員にとって、自分から人間関係を改善するのは困難です。
しかし、人間関係がよくない職場はストレスを溜めやすい環境でもあります。人間関係がうまくいかないことから仕事の継続を困難に感じ、早期離職につながるケースは少なくありません。
また、新入社員のなかには厳しい注意や指導を受けたことがない人もいます。
注意した側にそのつもりがなくても、注意された側の捉え方次第ではパワーハラスメントとして認められてしまうかもしれないため、注意しましょう。
新入社員が孤立していない環境が良い職場は離職希望者が出にくいですし、離職を検討している段階で相談を受けることで悩みを解決できるチャンスもあります。
求人票や労働条件通知書には、労働時間や休日などの情報が記載されています。
しかし、入社前にきちんと理解できている新入社員は少ないため、想定よりも勤務時間が長くなることがあります。
また、よくあるのが「休日の日数が違った」、「残業時間が長かった」ということが原因で体調を崩してしまったり、自由な時間が少ないためストレスを溜めてしまうケースです。
労働時間の相違から早期離職となるケースは、離職者と会社のどちらにとってもよくない結果になってしまいます。
認識の違いを少なくするため、入社前に労働時間に関する条件をしっかり確認する機会を持つといいでしょう。
賃金は求人票などに明記されており、ほとんどの場合がその通りに支払われます。
しかし、社会人は学生のアルバイトと違い、保険料や厚生年金などによる支出が多くなるため、手取りの料金が「想定よりもかなり少なかった……」という人もいるようです。
そのため、賃金に不満を持ち離職してしまうケースがあります。
新入社員の育成期間は会社によってさまざまです。1週間の研修で現場に出る会社もありますが、1年間かけてじっくり研修期間を設ける会社もあります。
スキルがまだ伴っていないのに、責任のある仕事やノルマを設けられると新入社員はプレッシャーに潰されてしまうことがあります。
コストの都合上、どうしても育成期間が短くなる場合は、先輩社員を常に近くに置いてサポートやケアをしてあげるといいでしょう。
配属先が希望と異なるため、仕事のモチベーションが低下してしまい離職することがあります。
例えば、技術職として入社した社員でも会社の方針として、最初の数年だけ営業職として働いてもらうことがあります。
会社としては実際に営業することで、どのようなお客さんに向けて製品を作っているのか知るために営業職を経験して欲しいと考えています。
しかし、新入社員からしてみると「技術職として入社したのになんで営業をやらないといけないのか」と思ってしまい会社に不信感を抱いてしまうかもしれません。
会社説明会などで育成プランについてしっかりと説明しておくとギャップが生まれにくくなるでしょう。
早期離職の理由で意外と多いのが、「なんとなく嫌になったため」という理由です。
明確な目的を持たずに、なんとなく就活を始め、なんとなく就職先を決めると長く働くことは難しいでしょう。
社会人として働くことで辛いことや悩みが出てきます。
その際に、入社時に明確な目的を持っていないと頑張ろうという気にもなれず辞めたくなってしまう傾向にあります。
新入社員が離職すると「さまざまなコストが無駄になってしまう」、「企業のイメージが低下する恐れがある」といった影響があります。
新入社員を採用する際は、「採用コスト」と「教育コスト」の2つがかかります。
採用コストとは採用に関わるコストのことで、学校などに提出する書類などの作成や説明会場の確保、求人広告掲載料などがあります。
これらのコストは金銭的なコストだけではなく、人材的なコストも発生しており、会社全体の利益に大きな影響を与えます。
また、入社後に新入社員研修をおこないますが、研修にもコストがかかります。
そのため、新入社員が早期離職してしまうと、採用コストや研修コストが無駄になってしまうのです。さらに、早期離職者を補充するために再度採用活動をすると、追加のコストがかかってしまいます。
早期離職者がいる会社は、あまりよくない会社というイメージを持たれてしまうかもしれません。
最近ではSNSや転職の口コミサイトなど離職者が会社について発信する場所が多くなっています。
企業側に落ち度が全くない場合でも、インターネットを通して悪いイメージが広まってしまうことで、優秀な人材が募集を避けてしまう可能性も出てきます。
一方、離職率が低い会社は「いい会社」というイメージが持たれやすいです。
インターネットなどでいい評価・イメージが広がれば、そのぶん優秀な人材も集まりやすくなるでしょう。
定着率のいい会社は以下のような特徴があります。
・社内コミュニケーションが活発
・ワークライフバランスが取れている
・福利厚生が充実している
この3つを踏まえ、新入社員の離職を防止する方法について考えてみましょう。
採用担当者や教育担当者などの人事総務部が押さえておくべきポイントは、以下の5つです。
入社後のギャップを防ぐために最も重要なのは、会社のイメージをしっかりと伝えることです。
公式ホームページや資料など、会社の雰囲気を正確に伝えられるコンテンツを用意しましょう。また、労働時間や育成方針などは会社説明会や選考の場でしっかりと説明します。
辞退されてしまうかもしれないからといって、会社にとっていい部分のみ伝えるのはおすすめできません。入社する可能性は高くなるものの、早期離職の恐れが出てくるでしょう。
会社の雰囲気をより確実に知ってもらうためには、インターンシップ制度の活用がおすすめです。実際に現場に入ることで職場や働いている人の雰囲気を知ることができるので、就活生は入社後の働いている姿をイメージしやすいです。
インターンシップ制度を導入するのが難しい場合は、内定後に懇親会を開催するといいでしょう。実際に働いている社員と交流することで、自分が働いている姿をイメージしやすくなるだけでなく、新入社員の不安を解消するきっかけになることもあります。
メンターとは新入社員や若手社員の悩みや課題を解決するために、年齢や社歴が近い先輩社員がアドバイスをする制度です。会社によっては職場先輩や教育担当などと呼ばれます。
メンターは同じ部署の社員が担当することが多いですが、他部署の社員が担当することもあります。他部署の社員のほうが悩みを相談しやすいというメリットがあるためです。
また、他部署の人と話す機会を持つことで、社員の視野が広がるということも利点に挙げられます。
ただし、新入社員に対する過干渉は避けなければなりません。メンターが新入社員に干渉しすぎると、プレッシャーを感じてしまいストレスを抱えてしまう可能性もあります。
適切なタイミングと、適度なフォローを心がけることが大切です。
人間関係があまりよくない職場は離職率が高くなります。
たとえば、質問や相談がしにくく、意見を出してもすべて否定されてしまうような雰囲気では、新入社員は委縮してしまいます。
場合によっては、新入社員が誰にも相談することもなく、急に離職してしまった…という事態に陥ることもあるでしょう。
新入社員が先輩社員に相談や意見を出しやすい環境にするためには、同じチームの一員であることを認識してもらうことが大切です。
例えば、歓迎会やランチ会、社内イベントなどを開催することで社内の交流が活発になります。職場の雰囲気も自然といいものになるでしょう。
新入社員は新卒入社や中途採用に限らず、新しい環境に慣れるまでストレスを抱えやすいです。
とくに新卒社員の場合は、学生から社会人になったことに気持ちが追い付かず、どんどんモチベーションが落ちてしまうことがあります。
注意するべき時期は5月と6月です。5月は「5月病」といわれる症状があるように、気持ちが乗らずにだらだらと過ごしてしまいがちな季節です。
また、6月は天候が不安定で雨が多かったり気圧の変化が激しかったりして心身ともに疲弊してしまいます。
このような状態が長引くとモチベーションが低下し、離職につながってしまうかもしれません。
福利厚生でストレスチェックやマッサージなどのリラクゼーション、メンタルヘルス診断などを導入することで、不安定になりがちな新入社員のメンタルを整えることができます。
新入社員は仕事をすると言うよりもやらされているという感覚が強いです。1日中電話をかけ続けたり、簡単な事務仕事しかやらせてもらえなかったりすると、会社にいる意味が分からなくなってしまうかもしれません。
新入社員に高いモチベーションを維持しながら勤務を続けてもらうためには、育成プランを設定することが大切です。
営業の仕事を例に挙げると、以下のような流れとなります。
・最初の3ヶ月・・・新規顧客を見つける為の架電のみ
・4ヶ月目以降・・・アポが取れた見込顧客とやり取りを開始
・半年後・・・商談に同席
上記のように育成プランを明確にすることで、高い目標を持って働くことができるようになるでしょう。
また、キャリアプランを形成することも重要です。キャリアプランとは、これからどのようなキャリアを築いていきたいのかを明確にするものです。
目標を達成するために何をするべきなのか、新入社員自身が考えて作成します。
新入社員の早期離職防止のために重要なことは、新入社員が働きやすく居心地の良い環境を用意してあげることです。
入社する際は、長く働くことを想定していても実際に働くことでギャップを感じてしまいモチベーションが低下することで早期離職に至ってしまいます。
早期離職がなくなることで会社のイメージが良くなり、優秀な人材が集まりやすくなるというメリットもあるので、環境づくりに力を入れるといいでしょう。