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ビジネスマインド
2022.02.04 (金)
社会人の基礎力とは、社会人として活躍するために必要な能力のことです。
優れた技術やスキルを持っていても、社会人の基礎力が劣っていると能力を活かし切れないかもしれません。
この記事では、社会人基礎力の解説と社会人基礎力を向上する方法を解説しています。
目次
社会人基礎力は経済産業省によると「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」と定義されています。
定義された背景にあるのは、企業側と学生側の間で「社会人になるために身に着けておくべき能力」に大きなギャップがあったことです。
この認識のズレを解消するために「社会人基礎力」が定義されました。
また、近年の傾向として企業と個人の関わりが長くなるため、社会人基礎能力の重要性はますます増しています。
そのため、2018年に会社で活躍し続けるために求められる力として「人生100年時代の社会人基礎力」も新たに定義されました。
つまり、社会人基礎能力は学生だけではなく、幅広い年齢層のビジネスマンにとって必要となる能力なのです。
社会人としての心構えができていない学生に社会人基礎力が必要なのは、多くの方に理解しやすいでしょう。
しかし、入社して3年目以降の社員、さらにはベテラン社員には社会人基礎力が必要ないと思う方もいるかもしれません。
人生100年時代といわれる現代では、環境やライフステージに応じて必要なスキルをアップデートしていく能力が必要です。
スキルのアップデートが必要な例を挙げます。
2000年代では「ガラパゴス携帯」や「フィーチャーフォン」と言われる携帯電話を持ち歩く人が多くいました。2020年代では多くの人がスマートフォンを使用するようになり、活用方法を学ぶ機会も増えています。
ビジネスにおいても同様のことが言えます。常に学びながら必要となるスキルをアップデートすることが、これからの時代求められる考え方なのです。
社会人基礎能力は以下の3つが定義されています。
・前に踏み出す力(アクション)
・考え抜く力(シンキング)
・チームで働く力(チームワーク)
さらに、「前に踏み出す力(アクション)」と「考え抜く力(シンキング)」には3つずつ、「チームで働く力(チームワーク)」には6つの能力要素があります。
ここでは、それぞれの概要と能力要素を紹介します。
「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」のことです。
学校のテストでは正解が1つの教科や課目が多いですが、仕事の場合は正解が1つとは限りません。
それどころか、答えが分かっていないのに答えを見つけ出さないといけないケースが多々あります。
そのため、失敗を恐れずに前に進み行動を起こす力が求められます。
また、もし失敗してしまったとしても同僚やチームメンバーと協力して、試行錯誤を繰り返して取り組むことも重要です。
前に踏み出す力(アクション)で必要な能力要素は、以下の3つです。
主体性 ⇒ 物事に進んで取り組む力
働きかける力 ⇒ 他人に働きかけて巻き込む力
実行力 ⇒ 目的を設定して確実に行動する力
「物事に疑問を持ち、考え抜く力」のことです。
発生した問題を解決するためには、まずは具体的な課題を見つけなければいけません。
そのためには、常に問題意識を持ちながら行動をする必要があります。
また、問題や課題を解決するために何をするべきなのか、思考する力も求められます。
以上のことから、考え抜く力(シンキング)で必要な能力要素は以下の3つになります。
問題解決力 ⇒ 現状を分析して目的や課題を明らかにする力
創造力 ⇒ 新しい価値を生み出す力
計画力 ⇒ 問題の解決に向けたプロセスを明らかにして準備する力
チームで働く力(チームワーク)とは、「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」のことです。
1人でできるプロジェクトには限界があり、大きなプロジェクトを成功させて成果をあげるためにはチームで取り組まなければなりません。
チームとして活動する際は多様な人と協力し合うことが求められます。
チームワークを発揮するためには、自分の意見をわかりやすく伝えるだけではなく、一人ひとりの話を聞き、意見をまとめる力なども必要です。
また、チームとして活動する以上、規律性も必要になります。
チームで働くことによって生じるストレスを、うまく処理する力も求められます。
以上のことから、チームワークの能力要素は6つあります。
発信力 ⇒ 自分の意見を分かりやすく伝える力
傾聴力 ⇒ 相手の意見を丁寧に聴く力
柔軟性 ⇒ 意見の違いや立場の違いを理解する力
状況把握力 ⇒ 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
規律性 ⇒ 社会のルールや人との約束を守る力
ストレスコントロール ⇒ ストレスの発生源に対応する力
これまで解説してきた社会人基礎力に、「人生100年時代の社会人基礎力」が働き方改革について提唱された際に追加されました。
新しく追加されたのは下記の「3つの視点」です。
・学び
・総合
・目的
社会人基礎力は学生や新入社員に向けられていましたが、新しく視点が追加されたことにより幅広い年齢層に向けられた定義になっています。
「学び続ける」ために必要となることが重要となる視点です。
学ぶためには、まず何を学ぶのか考えなければいけません。
「なんとなく役立ちそうだから」、「みんなが勉強しているから」という理由だけでは、あまり身のある学びにはならない可能性があります。
自身の成長を促し、役に立つ学びにするためには、まず自身のことをよく知ることが大切です。
自身がどのような能力を持っていてどのようなことができるのか、逆にどのようなことが苦手なのか考えると学ぶべきことが見つかりやすくなるかもしれません。
どんな時でも「学び続けること」を意識すれば、学ぶ力を養うことができるでしょう。
「これまでの経験や体験、能力を組み合わせる」ことです。これまでの経験や体験とは個人だけではなく、チームメンバーのことも含めます。
そのため、多様な経験や体験、能力を組み合わせるためには考える力と、多様な意見を引き出すための、チームワークも重要です。
「自己実現や社会貢献に向けて行動する」ことです。
目的や目標を達成するためには、具体的に何をするべきなのか考えて、自分から行動を起こす意識を持たなければなりません。
例えば、将来の夢を叶えるために今からするべきことは何なのか、学生の頃から準備するケースは多いでしょう。
社会人になり、どのようなキャリアプランを築いていきたいのか明確にして、そのために必要なことに取り組む人もいます。
また、社会人として活躍するためには、周囲の意見を聞くことも重要です。周囲の協力を得ることで、活動の選択肢が増えるでしょう。
社会人基礎力が低いと感じている方や、自分の社会人基礎力がどの程度なのか知りたいという方もいるのかもしれません。
社会人基礎力を向上させるポイントは、「客観的な見直し」「日々の業務からの意識」「社会人基礎力の診断を受ける」の3つです。
ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
社会人基礎力の「3つの能力」と「12の能力要素」、そして新しく追加された「3つの視点」これらを自分にとって得意なことと、苦手なことを分類するのをおすすめします。
客観的に自信を見直す自己分析は、社会人基礎力の向上にもつながります。
単に「社会人基礎力が磨かれそうだから」と思いついたものを始めるのではなく、最初にしっかり自己分析するのがおすすめです。
そうすることで、自分に何が不足しており、何を伸ばすべきなのか見えてくるでしょう。
しかし、自分のことを客観的に分析するのは難しく、向上心がある人は自己評価を低めに分析してしまう傾向にあります。
なかなか自己分析がうまくできない方は、家族や友人などの周囲の人に客観的な意見を聞くといいでしょう。
その際は、しっかり自分の成長につながるよう、正直な意見を言ってくれる人を選ぶのがおすすめです。気を遣って本音を隠してしまうような人は避けたほうがいいかもしれません。
「3つの能力」と「12の能力要素」、「3つの視点」は常日頃から意識して生活することで、社会人基礎力が大きく向上するのを期待できます。
とくに意識するのが自己分析の結果、判明した得意分野と苦手分野です。
社会人基礎能力は話を聞いただけですぐに身に付くようなものではありません。高い意識を持ち、日々の積み重ねがあることで成長が促進されます。
また、得意分野と苦手分野はそれぞれどちらかだけを伸ばそうとせずに、両方伸ばすつもりで取り組むとバランスよく成長できます。
社会人基礎力の診断はネット上で無料診断できます。スマートフォン用のサイトやアプリなどもあるため、好きな時間と場所で診断ができるのが特徴です。
自己分析の際は、家族や友人から客観的な意見を聞くのも、有効な手段です。
しかし、多くの人にとって面と向かって相手のマイナスな部分を指摘するのは難しく、正確な評価が得られるとは限りません。
社会人基礎力の専門的な診断サービスでは、入力した情報を判断材料に正確な自分の能力を知ることができます。
また、今後どのようなことを意識して生活すればいいのかなど、フィードバックをしてくれるため、社会人基礎力向上につながりやすいでしょう。
社会人基礎力は採用活動の際や、昇格の際などの見極めに役立ちます。
人材を「優秀そう」「成果を出しているから」などの理由だけで選ぶとミスマッチが発生してしまう可能性があります。
最適な人材を選ぶためにも、社会人基礎力はひとつの基準となるのです。
採用シーンでは、これまでどのような学生時代を過ごしてきたのかで採用を決めるでしょう。
学歴や資格、経歴などから判断しますが、必ずしも高学歴の人材が自社にマッチして活躍できるわけではありません。
また、逆にこれまでの経歴に目を引くものがなくても、入社してから力を付けて優秀な社員になるケースもあります。
この違いは、社会人基礎力の差によるものが大きいでしょう。
とくに中途採用では、経験を重視する傾向にあります。スキルや経験が不足していても、社会人基礎力があれば、活躍につながるかもしれません。
面接では志望者が自己分析を正しくできているのか、それを言語化して伝わりやすくなっているかなどで見極めるといいでしょう。
勤続年数が長い社員には、リーダー職や役職を与えることになるでしょう。
成果を出している優秀な人材が昇格することが多いですが、社会人基礎力のひとつである「チームで働く力」が苦手な社員は、チームワークが発揮できなかったり、業務効率が低下してしまったりするかもしれません。
しかし、「チームで働く力」が苦手なのを承知して任命し、リーダー職を任せることで「チームで働く力」を養ってほしいというケースもあります。
このような方針は、会社が大きく成長するために非常に有効です。
個人としては優秀な社員でも、「チームで働く力」が劣っている社員を成長させるケースもあります。
こうした場合は決して放任せず、お手本となるリーダーを近くに置いて、アドバイスや意見をもらいやすい環境を用意するといいでしょう。
社会人基礎力に必要な物は、「前に踏み出す力(アクション)」、「考え抜く力(シンキング)」「チームで働く力(チームワーク)」です。また、学びについての「視点」も重要になっています。
社会人基礎力を伸ばすためには、日頃の業務や日常を過ごす際に少しだけ意識を変えることが大切です。
自分には何が不足しており、どこが優れているのかを洗い出し、能力を伸ばす方法を見極めて実践することで少しずつ社会人基礎力が向上します。